イコール
学校から出ると、雨は上がっていた。
吹奏楽部のサックスと、軽音楽部のメタルがかったギターが、妙なアンサンブルを繰り広げていた。
息の合った、二つの平行線。
哀しいかな、響きあうことは無かったけれど、歪んだハーモニーは窓ガラスを揺らしていた。
イコールの記号「=」が表して居るのは、平行線。
ならば、混ざり合うことの無いこの二重奏は、イコールだろうか。
無意味な問いに答えるように、ギターの音が止んだ。
「イコールは好きだよ」
ひらり、と舞うスコア。
追いかける彼女のスカートが、ひらり。
片思いってのは、ある種、イコールだな。
平行線=イコール?
「響きがね。」
学校から出ると、飛行機雲がイコールを作っていた。