アイソトープ
彼女が壊れた。
理由は簡単、僕が首を絞めたから。
こうすることは最初から決まってた、彼女もそれを望んでたし、僕もそうしたかった。
それがルールだった。
「いつか壊れるの、アイソトープと一緒だね」
最期の瞬間、それまで笑っていた彼女が、酷く後悔したような表情をした。
多分、気のせい。
腐ってゆく彼女は、どんどん壊れていった。
匂いが堪らなくて、どこかに埋めようと思った。
半分骨になった、彼女の顔が、酷く笑っていた。
持ち上げようと、力を入れると、彼女はボロッといった。
どうしようもなく、彼女の腕を、テーブルの上に置いて一頻り考えた。
多分、気のせい。
アパートが燃えている。
彼女と僕が、ぴったり1年過ごしたアパート。
煙と一緒に、灰になった彼女が目に入って、初めて泣いた。
腐ってる。
新しい家で、コーヒーを飲み干すと、僕の体がボロッといった。
僕らはきっと、アイソトープ。
壊れゆく、アイソトープ。