最初、それは皆見えているものだと思った。

それは人間の体のいろいろな部分から伸びていて、その先は途方も無い遠方に続いていることもあるし、すぐ近くに繋がっていたりもする。

繋がってる対象は何でもアリで、人だったり物だったり、場合によっては千切れてしまって、ふらふらと空中を漂うものもある。

手で触れる事は出来ない、物体に遮られる事も無いし、物理的なものは何一つ作用しない。

ただ、それはくっついている人間にだけ、力を発揮する。

その人が何か行動を起こした時、別に毎回全てという訳では無いが、それがくっついている人間同士の約束事や、その関係の何かに反したりすると、その対象を軽く引っ張るのだ。





つい、この間の話。

学校が終わり、何となくゲーセンに行こうという話になった、まぁ暇だったので皆それとなく同意し、ぞろぞろと駅前へ歩いていた。

すると、僕の前を歩いていた一人の首根っこをそれが引っ張った。

何か思い出したように、友達は立ち止まり「そーいや今日、妹の見舞いだったわ」と言って、帰って行ってしまった。